企業が次に進むべき道は？市場×製品のマトリクス思考
handsonイゴール・アンゾフとは？
イゴール・アンゾフ（1918年 - 2002年）は「戦略経営の父」とも称される経営学者で、著書『企業戦略論』『戦略経営論』などを通じて現代経営に大きな影響を与えました。中でも有名なのが「アンゾフ・マトリックス」であり、企業の成長戦略を体系的に整理するための代表的なフレームワークです。
アンゾフ・マトリックスとは？
アンゾフ・マトリックス（または成長マトリックス）は、縦軸に「製品」、横軸に「市場」を取り、それぞれ「既存」と「新規」で区分することで、企業の成長戦略を4つの象限に分類します。
1. 市場浸透（Market Penetration）
戦略概要：既存の製品を既存の市場でより多く販売することで成長を図る、最もリスクの低い戦略です。
具体的な施策例：
- 広告宣伝の強化（テレビCM、SNS広告など）
- 販売促進（クーポン、ポイント、割引キャンペーン）
- 価格戦略の見直し
- 既存顧客のリピート促進やロイヤルティ強化
2. 市場開拓（Market Development）
戦略概要：既存の製品を、新しい市場や顧客層に展開する戦略です。
具体的な施策例：
- 地理的な拡大（国内未開拓地、海外展開）
- 新しい顧客層へのアプローチ（若年層、高齢者など）
- 新たな販売チャネルの確立（ECサイト、代理店など）
3. 製品開発（Product Development）
戦略概要：既存市場に対して、新たな製品やサービスを投入する戦略です。
具体的な施策例：
- 新製品の開発・投入
- 既存製品の改良（デザイン変更、性能向上など）
- 製品ラインナップの拡充
4. 多角化（Diversification）
戦略概要：新しい製品を新しい市場で展開する、最もリスクが高い成長戦略です。
具体的な施策例：
- 異業種への新規事業参入
- M&Aを活用した新分野開拓
アンゾフ・マトリックスのマーケティング応用
成長目標の明確化
戦略ごとに設定すべき目標が異なります。たとえば市場浸透戦略ではシェア拡大が目標となり、多角化戦略では新規売上源の創出が求められます。
マーケティングミックスの最適化
4P（Product、Price、Place、Promotion）戦略を、選択した成長戦略に応じて最適化します。例えば市場開拓であれば、新市場に合わせた広告戦略や流通戦略が重要となります。
リスクとリターンのバランス評価
アンゾフ・マトリックスは、各成長戦略のリスクとリターンを比較しながら、意思決定の判断軸を明確にする助けになります。
注意点と限界
- 静的ツールである点：市場環境は日々変化するため、戦略の定期的な見直しが重要です。
- 定性的な要素はカバーしきれない：顧客心理、技術トレンド、規制なども合わせて分析する必要があります。
- 戦略の正解は状況次第：どの象限の戦略が最適かは、企業の状況や業界の環境によって大きく異なります。
