銀座カラーの成功と破綻の全貌。急成長を支えた戦略とビジネスモデルの限界

かつて脱毛サロン業界で急成長を遂げ、多くの顧客を集めた「銀座カラー」。若い女性を中心にその名は一躍有名になり、最盛期には業界のトップクラスにまで躍り出ました。しかし、最終的には経営が悪化し、破産に追い込まれるという結末を迎えました。では、このブランドはどのようにして成功を手に入れたのでしょうか。本記事では、銀座カラーのマーケティング戦略に焦点を当て、その成功の要因を掘り下げていきます。知名度を高めるために打ち出した広告キャンペーンや、顧客のニーズに応えるプラン設計など、数々の工夫がどのように急成長をもたらしたのか、具体的な事例をもとに分析します。また、その成長がどのように失速し、最終的に経営破綻へと繋がったのかも考察します。急成長の裏に隠された課題とは何だったのか――。


座カラー破産までの経緯

脱毛サロン「銀座カラー」を運営していたエム・シーネットワークスジャパン(東京都港区)は、破産手続きの開始を公式ホームページで発表しました。負債総額は約58億円にのぼり、債権者は10万人以上。このニュースはSNSなどを通じて広まりました。

エム・シーネットワークスジャパンは1993年に設立。当初は銀座に1店舗だけの脱毛サロンでしたが、2010年代から「銀座カラー」のブランド名で全国に店舗を展開し始めました。銀座に本店を構え、長い歴史を持つことから業界内で一定の信頼を獲得していました。さらに「通い放題プラン」を打ち出し、若い女性を中心に人気を集めました。有名な俳優や女優を起用したテレビCMで知名度を上げ、新しい顧客も積極的に獲得していました。

しかし、会員数の増加に伴い、「予約が取りにくい」という問題が発生。この課題を解決し、さらに多くの顧客を抱えるために、新店舗を次々と開設しました。銀座や渋谷、横浜といった都心を中心に主要都市へ進出し、ピーク時には全国に約50店舗、80万人以上の顧客を抱えていたとされています。こうした拡大策が功を奏し、2020年4月期には売上高が125億円以上と、10年前の6倍以上に成長しました。このようにして「銀座カラー」は脱毛サロン業界で大手の一角を占めるまでになったのです。


長から失速、そして破産へ

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって状況は一変します。多くの店舗が一時休業や営業制限を余儀なくされ、外出自粛によって利用者が急減しました。その結果、2021年4月期の売上高は約100億円に減少し、約11億円の赤字となり財務状況が悪化。さらにコロナ禍が続く中で新規顧客の獲得が難しくなり、加えて医療脱毛サービスの価格競争が激化。こうした厳しい環境の中で、店舗を統廃合して事業存続を試みましたが、経営状況はさらに悪化しました。

2023年4月期の売上高は45億円にまで減少し、約15億円の営業赤字を計上。特別損失は10億円を超え、最終的な赤字は23億円以上に達しました。債務超過は65億円に拡大し、社会保険料の滞納額も8億円を超える深刻な状況に。経営者は私財を投入して資金繰りを続け、事業譲渡を試みましたが、2023年10月には買い手候補から断られ、同年12月には運転資金が底を突き、破産に至りました。


座カラー破綻の理由

エム・シーネットワークスジャパンは、銀行からの借入(有利子負債)が少ない会社でした。2022年4月時点で借入金はゼロ。しかし、店舗拡大や赤字補填をどうまかなっていたのか。その答えは「前受金」にありました。前受金とは、顧客が事前に支払った料金のこと。負債総額91億円のうち、70億円以上が前受金であり、全体の約77%を占めていました。

このビジネスモデルは、顧客数が増え続ける間は成り立ちますが、一旦顧客数が減少すると資金不足が表面化し、経営が行き詰まります。銀座カラーの場合、前受金への過度な依存が破綻の大きな要因となったと考えられます。