【連載/第10回】便益と独自性は、どうやって見つける?― 顧客インサイトから「売れる理由」を掘り出す方法
■ なぜ「売れない」のか。それは“見えていない”から
企業が抱えるよくある悩み。
- 「うちの商品、いいはずなのに売れない」
- 「広告も出したし、SNSもやったけど効果がない」
- 「差別化したつもりなのに、顧客に刺さらない」
その原因の多くは、便益と独自性を見誤っている or 言語化できていないことにあります。顧客が「なぜそれを買うのか」を、提供側が理解できていない状態です。
■ 答えは、顧客の心の中にある
便益と独自性は、「会議室」ではなく「顧客の行動と心理の中」にあります。だからこそ、現場で観察し、顧客の声を聞くしかない。
その最も実践的な方法が、以下の3つです。
1.【N1インタビュー】
1人の具体的な顧客に深く話を聞く
質問の例:
- どんな場面でそれを使おうと思ったのか?
- 他と迷ったとき、なぜそれを選んだのか?
- 使ってみてどう感じたか?
- 続けている理由、やめた理由は?
この中で出てくる生の言葉や無意識の行動にこそ、
便益と独自性の“ヒント”があります。
2.【観察・同行】(Shop-along)
購入・使用の場面を同行して観察。
口では「安さ重視」と言いながら、実際はデザインをじっと見ていたりする。
行動と言葉が違うところに、真のインサイトが隠れているのです。
3.【競合ユーザーへのインタビュー】
他社の商品を使っている人に聞く。
- なぜそれを選んだのか?
- なぜうちの商品ではなかったのか?
これにより、「うちが伝えてない便益」や「他社だけが持つ独自性」が浮かび上がります。
■ 便益と独自性の発見は、仮説の積み重ね
最初はピンとこなくても大丈夫。
仮説 → インタビュー → 修正 → 再検証を繰り返すことで、「見えていなかった価値」が浮かび上がります。
プロのマーケターほど、この“仮説の試行回数”が多いのです。