【連載/第11回】便益と独自性を引き出す「質問の型」― N1インタビューで価値のタネを掘り起こす方法

■ 「何を聞けばいいのか分からない」問題

1人の顧客に深く向き合うN1インタビュー。でも、いざ始めようとするとこうなります。

  • 何を聞けば本音がわかるのか?
  • 表面的な感想しか返ってこない…
  • 無理に聞いている感じがして気まずい…

そこで重要なのが、「質問の型(テンプレート)」です。それに従って聞くだけで、深層心理に近づけるようになります。


■ インサイトを引き出す「5つの質問ステップ」

ステップ①:「出会い」に注目

「いつ、どこで、その商品(サービス)を知りましたか?」

ここではきっかけを掘り出します。
・広告を見た
・友達に勧められた
・たまたまSNSで流れてきた など

この“出会い方”は、**今後の施策(HOW)**を考えるヒントになります。


ステップ②:「第一印象」を聞く

「最初に見たとき、どう思いましたか?」

ここで注目するのは、直感的な印象。→ 驚いた、ダサいと思った、親しみを感じた、期待した…など。第一印象がポジティブでもネガティブでも、心理の動きに注目しましょう。


ステップ③:「比較行動」を探る

「他に迷った商品・サービスはありますか?」
「それと比べて、なぜこれを選んだのですか?」

便益や独自性の比較がここに出ることが多いです。

例:
「●●の方が価格は安かったけど、□□の方が安心感があった」
→ 安心感=便益
→ 安心させる仕掛けに差別化(独自性)がありそうという仮説が立ちます。


ステップ④:「体験後の感想」を深掘り

「実際に使って(試して)どうでしたか?」
「使ってみて、何が一番よかったですか?」

ここで便益が確信レベルで語られます。
「思っていたより楽だった」「不安が解消された」など、顧客にとって嬉しかった“変化”や“改善”が便益そのものです。


ステップ⑤:「継続 or 離脱の理由」

「続けている理由は?/やめた理由は?」

この問いは本質が出やすいです。

  • 続けているなら → 「自分の生活の一部になってる」
  • やめたなら → 「別の商品の方が良さそうだった」「想像と違った」など

→ 離脱理由には、改善のヒントも眠っています。


■ 「なぜ?」を3回繰り返す

どの質問でも、答えが返ってきたら

「なぜそう感じたのか」
「なぜそれが良かったのか」

と**“なぜ?”を3回繰り返す**と、奥にある「本音=インサイト」に到達できます。


■ インタビューは“答え合わせ”ではない

  • 顧客の言葉通りに受け取らない
  • 仮説と照らして深掘る
  • 「こう思ってるかも?」と想像を挟む
  • でも、勝手に決めつけない

このバランス感覚が大事です。
インタビューとは“正解探し”ではなく、“発見の旅”なのです。