【連載/第14回】顧客が価値を見いだす“便益と独自性”の再確認
■ プロダクトの価値を知るために、まず「誰が?」からはじめる
マーケティングで成果が出ない原因の多くは、「プロダクトに価値がない」のではなく、「価値が伝わっていない」か「誰にとっての価値なのかが不明確」だからです。これはすなわち、WHOとWHATの関係性が曖昧だということ。
「この商品には自信があるのに、なぜ売れない?」という悩みの多くも、便益や独自性を誰に届けるのかが定まっていないため、適切な顧客に届いていない可能性があります。
■ 顧客の価値認識は「主観的」
顧客にとっての「価値」は、客観的なものではなく「主観的な認識」によって決まります。たとえば、カロリー控えめなラーメンに対して、
- ダイエット中の人には「食べられる嬉しさ」が便益となり
- 普通のラーメンが好きな人には「物足りなさ」がマイナス評価になります。
つまり、同じプロダクトでも、WHOが違えばWHATも変わるのです。
■ 価値の四象限で自社プロダクトを棚卸し
前回紹介した「価値の四象限(便益×独自性)」に照らし、自社プロダクトがどの象限に位置しているかを整理することで、次のアクションが見えてきます。
例:
- 便益あり × 独自性なし → コモディティ(差別化の工夫が必要)
- 独自性あり × 便益なし → ギミック(顧客にとって意味があるかを検証)
■ N1分析を活用し、WHOとWHATの深掘りへ
実際に自社商品を支持してくれている「1人の顧客(N1)」を徹底的に分析することで、
- どんな心理・状況で購入してくれたのか?
- どの要素に価値を見いだしているのか? を明らかにできます。
これが、他の潜在顧客にも刺さる便益と独自性のヒントになります。
■ 「提案=アイデア」としての位置づけ
最終的に、WHOとWHATの関係性から導かれる「価値」は、あくまで企業側の“提案”であり、“アイデア”です。
- 顧客がそれを自分ごと化して、初めて「価値」として成立する
- 自社が信じている便益・独自性も、顧客がそう感じなければ価値にならない
この考え方を前提にすると、マーケティングは“伝える”のではなく“気づかせる”活動へと変化します。