【連載/第15回】社内で「価値定義」を共有し、具体的な打ち手へ展開する

■ 「価値の定義」を組織で共有する重要性

マーケティング戦略の実行において、どれほど優れた便益や独自性を見いだせても、社内での共有が不十分であれば、施策の統一性やスピード感が損なわれます。価値定義を明文化し、チーム全体が共通認識を持つことが、具体的なHOWの精度と成果を大きく左右します。


■ 「価値仮説シート」を活用しよう

社内共有のために有効なのが、「価値仮説シート」の作成です。以下の項目を簡潔に記述することで、WHOとWHATを起点に価値の伝達構造を整理できます。

  • 【WHO】顧客像(具体的なN1のプロフィール)
  • 【WHAT】顧客にとっての便益と独自性
  • 【WHY】顧客がその価値を必要とする理由
  • 【HOW】どの手段で伝えるか(初期仮説)

このシートは、マーケティング部門だけでなく、営業部門や開発部門との連携を深める橋渡しにもなります。


■ HOWの設計はあくまで「最後」

多くの企業がHOWから議論を始めてしまいがちですが、正しい順序は「WHO→WHAT→HOW」です。

  • 誰に向けて(WHO)
  • どんな価値を届けるか(WHAT)
  • どう届けるか(HOW)

HOWは手段であり、手段が目的化してしまうと、本来の戦略とズレが生じます。


■ 小さく始めて検証する

価値仮説を立てたら、すぐに全社で実行に移すのではなく、小規模なテスト施策で仮説検証することが大切です。

  • 限定的なターゲットへの訴求(例:特定の店舗、SNSアカウント、展示会など)
  • KPIをシンプルに設定し、成果を早く確認できるようにする

検証を通じて得られた学びをもとに、施策を改善し、社内共有された価値定義との整合性を高めていきましょう。