【連載/第4回】マーケティングの最重要式:「WHO × WHAT」なくして「HOW」は決まらない

どんなに優れた広告や販促活動(HOW)も、「誰に、何を」を間違えていれば効果は期待できません。マーケティングの本質は、「誰に(WHO)」「何を(WHAT)」「どうやって(HOW)」を正しく組み合わせ、価値を生み出すことにあります。


■ 「WHO × WHAT」がなければ、HOWの選択は迷走する

多くの企業が、手段(HOW)から考えてしまいがちです。
「SNSでバズらせたい」「動画広告を出したい」といった声が先行しがちですが、届けるべき顧客像(WHO)と、その人に本当に届くべき価値(WHAT)が曖昧なままでは、施策の的が定まりません。

  • TikTokが流行っていても、ターゲットが50代なら意味がない
  • プロダクトがBtoB商材なら、テレビCMよりセミナーや営業支援の方が適切

HOWは、WHOとWHATに従属する。


■ 4Pの本質は「HOWを整える」ための考え方

マーケティング4P(Product, Price, Place, Promotion)は、すべてHOWを構成する要素です。
これらをどう設計すべきかは、あくまで「誰に(WHO)」と「何を(WHAT)」の組み合わせによって決まります。

4P意味WHO・WHATとの関係性
Product(製品)どんな便益・独自性を持つかWHATそのもの
Price(価格)どんな価格なら納得されるかWHOの価値認識による
Place(流通)どこで買いたいかWHOの購買動線による
Promotion(販促)どう届けるかWHOに合った訴求手段

■ 便益と独自性を“誰にとって”価値あるものにするか?

「いい商品なのに売れない」と悩む企業は多くあります。
その多くは、WHATの主観的な自信に比べ、WHOの理解が浅いことが原因です。

例えば:

  • 牛乳の価値は、アレルギーの人にはゼロ
  • クーポンアプリも、外食しない人には無意味
  • おいしいカレーでも、カレー嫌いには価値ゼロ

「誰にとっての価値か」が見えなければ、価値は生まれません。


■ マーケティングの順番は、必ず「WHO → WHAT → HOW」

マーケティング戦略を構築する順序は、必ずこの3ステップです:

  1. WHO:どんな顧客がいるか?どこにいるか?どんな課題・欲求を抱えているか?
  2. WHAT:その顧客が価値を感じるプロダクトとは何か?便益と独自性は何か?
  3. HOW:どんな価格・流通・販促・表現で届ければいいか?

手段に飛びつかず、本質から設計することで、投資対効果は最大化されます。