【連載/第7回】売れるプロダクト・売れないプロダクトの分かれ道― N1分析で見えてくる「価値の有無」
■ 価値は「顧客との関係性」で生まれる
企業が「これは価値がある」と思っていても、顧客がそう感じなければ、それは価値ではない。
どれだけ作り手の熱意があっても、「誰にとっての便益か」「他とどう違うか」が明確でなければ、売上にはつながりません。
価値とは、WHO(顧客)とWHAT(プロダクト)の“関係性”のなかで初めて生まれるのです。
■ 「便益+独自性」が価値を決める
N1分析を通して、顧客が何に「便益」(買う理由)を感じ、何に「独自性」(他を選ばない理由)を見いだしているかを確認することで、
- 価値の“発生ポイント”
- 購入・リピートの“きっかけ”
- 競合と差別化されているか
が明確になります。
■ 事例:スマートニュースの「クーポンチャンネル」
ある顧客の一言「気づかず損した感じになる」がN1分析の起点。そこから“クーポンが一箇所にまとまっていない不便さ”という便益不足を捉え、「複数チェーン店のクーポンがまとめて見られる」という独自性で、クーポンチャンネルが誕生しました。結果、多くの人が同じ便益と独自性に価値を見いだし、アプリのDL数は爆発的に伸びました。
■ マス思考では見えない「買う理由」
最大公約数的な分析では「買った人の数」はわかっても、「なぜ買ったのか」は見えません。
一方、N1分析なら「なぜ?」を深く掘り下げることができます。
その顧客が“価値を感じた本当の理由”がわかれば、同じような人が世の中に何人いるかを仮説検証していくことができます。