【連載/第8回】「たった1人」の声を、どう広げるか― 拡張可能な価値の見極め方と広げ方

■ N1は「ニッチ」ではない

「たった1人の声を起点にしても、ニッチなままで終わるのでは?」そんな心配はよくあります。でも実際はその逆。誰か1人が“強く”価値を感じているプロダクトには、同じように感じる人が何千人、何万人と存在する可能性があります。


■ 「広げ方」の鍵は「検証」

N1が見つかったら、その人と似たような生活・価値観・課題を持つ人が他にいるかを検証します。

たとえば:

  • 似た属性の顧客にも同様の価値を感じてもらえるか?
  • 同じ便益や独自性が、他のシーンやターゲットでも通用するか?

インタビューや定性調査で丁寧に見極めていくことが大切です。


■ 拡張できるかの判断基準

  • 1人にとって強い便益であること
  • その便益が他者にも共通する課題であること
  • 独自性が再現性を持って成立すること

この3つがそろえば、N1の価値は**“マスに届く価値”へと育つ素地がある**ということになります。


■ 「刺さるメッセージ」もN1から生まれる

広告やPRの訴求も、N1の心を動かした言葉やシーンから生まれます。「自分もそう思ってた!」という共感は、本当に理解された人の言葉からしか生まれません。

拡張は、まずは1人の“熱いYES”から。その熱量を見逃さず、同じようなYESを集めていくのが、戦略的マーケティングの真骨頂です。