マーケティングは“気づき”から始まる──POMEという名の入口設計論

POMEって何?手のひらから入り口をつくること
POME(Point Of Market Entry) = 「そのカテゴリを意識し始める“入口の瞬間”」。商品のことをまだ“知らない人”が、「あ、こういうものもあるのかも?」と思い始めるきっかけだよね。
たとえば葬儀社の話なら、「余命宣告を聞いた」「親が高齢化してきた」って瞬間が POME。そのタイミングを理解できれば、マーケターは「そのとき・その言葉」で刺さるメッセージを準備できるってこと。
POME を押さえるってことは、“潜在顧客”を “このカテゴリを考える人” に変える扉を開けるってことなんだ。
POME と MOT(真実の瞬間)の関係性
POME は、意思決定プロセスの最初の“起点”だとすると、そのあとにくるのが ZMOT → FMOT → SMOT って流れ。
- ZMOT(Zero Moment of Truth):購入前にネットや口コミで情報を探す瞬間
- FMOT(First Moment of Truth):商品を実際に目にしたり接触したりする瞬間
- SMOT(Second Moment of Truth):使って体験する瞬間。満足・不満が生まれる時間
だから、POMEを考える際の流れはこう。ZMOT → FMOT → SMOT → 継続 / 離反 …。POME がしっかり設計できてないと、そもそも流入が起こらないわけです。
POME とマーケティングファネルの関係
一般的なファネル(認知 → 興味 → 検討 → 意思決定 → 継続)でいうと、POME は「認知前 → 認知/興味層」への橋渡し部分。だから、POME を無視してキャンペーン打っても、母数がそもそも小さかったら反応薄いのは当然。POME を複数の入口で設計しておくと、異なる人たちをそれぞれ引き込みやすくなる。
POME を起こすチャネル・打ち手(使える手のひら技)
POME を発生させるには、「無意識 → 意識」の瞬間をつくるチャネルや表現が鍵。
| チャネル | 特徴/強み | POME を起こす手法例 |
|---|---|---|
| OOH(屋外広告、看板など) | 強制的に視界に入る | 衝撃的コピー、問いかけ型表現で「そういえば自分も…」と思わせる |
| Web 広告 / SNS 広告 | ターゲティングが効く | 潜在ニーズくすぐる文言(「もしかして○○してない?」) |
| コンテンツマーケティング | 問題提示や物語で気づきを与える | ストーリー記事、事例、仮説提示記事 |
| PR / メディア | 信頼性を背負える | 新しい視点・論点提供、タイミングある露出 |
| インフルエンサー | 見慣れない視点を届けられる | 「こんなの知らなかった!」系の投稿、体験共有 |
| アライアンス / コラボ | 関連分野経由で新しい人に触れる | 他業界と共同企画、提携キャンペーン |
| セミナー / 講演 | 直接体験・場での気づきを設計できる | 問題提起トーク、ワークショップ型 |
| DM / メッセージ | ターゲットに直接届く | パーソナルな問いかけ、ストーリー誘導型 |
ただ使えばいいってわけじゃなくて、POME → 次ステップ(ZMOT や検討) までの導線設計が必須。
POME 活用の構造案
- ペルソナをつくる → 潜在課題・兆候を洗い出す
- POME 候補(問いかけテーマ・トリガー)をリストアップ
- 各 POME に対して仮説メッセージ設計
- その POME にふさわしいチャネルを選ぶ
- 広告/LP/記事/動画など導線を設計
- ZMOT ~ FMOT ~ SMOT までの体験設計
- 検証・改善(A/B テスト、パフォーマンス分析)
POME を意識するってことは、“ただ目立つ広告を打つ”ことじゃなくて、“気づかせるための入口を慎重につくる”ってことなんだ。
これを使えば、まだ目を向けてない人を無理やり引き込むんじゃなくて、そっと手のひらで誘えるようになる。


