糸井重里

1. Lifestyle

生活

糸井重里のコピー思想は、徹底した「生活者視点」に基づいています。広告のメッセージを企業の主張としてではなく、日常の会話や心の中の独り言として表現し、商品と生活者の間に自然で気取らない関係性を築こうとしました。コピーが日々の生活の具体的な風景と結びつくことで、メッセージはより深く生活に浸透します。

2. Air

空気

彼の作風は、特定の時代の「空気感」を言葉で掬い取り、増幅する能力にあります。単なる流行ではなく、多くの人が言語化できずにいる気分や感情を代弁することで、コピーが文化現象へと昇華します。広告は時代を映す鏡であるという彼の哲学が、この独特の空気感を生み出しています。

3. Temperature

温度

糸井のコピーには、優しさ・親近感・人間味といった独特の「温度感」があります。ひらがなを多用するなど話し言葉に近い表現を用いることで、メッセージに柔らかい肌ざわりを与えます。この温度感は、生活の中にそっと入り込む広告の理想形とも言えます。

4. Hook

引っ掛かり

彼のコピーは、意外性や言葉の飛躍による強い「引っ掛かり」を持ちます。「おいしい生活。」のように、一見関連のない語を組み合わせることで、瞬間的に思考を止め、深い印象を残します。軽やかなウィットが、コピーを単なる説明ではない新しい意味の器へと変換します。

5. Media

媒体

糸井重里の活動は、コピーライターの枠を大きく超えています。編集者、ゲーム制作者(『MOTHER』シリーズ)、そして『ほぼ日刊イトイ新聞』の運営など、多岐にわたる仕事の根底には、言葉を媒介として「生活を編集する」という思想があります。彼にとって言葉とは、あらゆるメディアを横断し、人々の営みを豊かにするための根源的なツールなのです。

Copy Collection

  • 君に、クラクラ。(カネボウ化粧品)
  • くうねるあそぶ。(日産・セフィーロ)
  • 生ビールがあるじゃないか、あるじゃないか。(キリン・ラガービール)
  • ロマンチックが、したいなぁ。(サントリー・レッド)
  • あったかい夜を、プリーズ。(同上)
  • A・B・C・Dのうちで、あなたに当てはまる部分をお読みください。(サントリー・ペリエ)
  • がんばった人には、NCAA(サントリー・NCAA)
  • くろまてがクロマティになる。(バップ・スーパーリアルベースボール'88)
  • 大人も子供も、おねーさんも。(任天堂・MOTHER2)
  • いまのキミはピカピカに光って。(ミノルタ X-7)
  • よろしく。(小学館・矢沢永吉写真集)
  • やたッ。(ロンドンレコード・RCサクセション)
  • サラリーマンという仕事はありません。(セゾングループ・求人広告)
  • オランジェ・デ・キドル(資生堂・レシェンテ)
  • 本当の主役は、あなたです。(日本テレビ・24時間テレビ)
  • TRAiNG(JR東日本)
  • イノセンス それは、いのち。(映画『イノセンス』)
  • まりちゃんはヘビィ・メタル(浜田麻里)
  • このへんないきものは まだ日本にいるのです。たぶん。(映画『となりのトトロ』)
  • 4歳と14歳で、生きようと思った(映画『火垂るの墓』)
  • 忘れものを、届けに来ました。(となりのトトロ/火垂るの墓)
  • おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。(映画『魔女の宅急便』)
  • 私はワタシと旅にでる。(映画『おもひでぽろぽろ』)
  • カッコイイとは、こういうことさ。(映画『紅の豚』)
  • タヌキだってがんばってるんだよォ(映画『平成狸合戦ぽんぽこ』)
  • 好きなひとが、できました。(映画『耳をすませば』)
  • 生きろ。(映画『もののけ姫』)
  • 家内安全は、世界の願い。(映画『ホーホケキョ となりの山田くん』)
  • トンネルのむこうは、不思議の町でした。(映画『千と千尋の神隠し』)
  • 猫になっても、いいんじゃないッ?(映画『猫の恩返し』)
  • ふたりが暮らした。(映画『ハウルの動く城』)
  • 見えぬものこそ。(映画『ゲド戦記』)
  • インテリげんちゃんの、夏休み。(新潮文庫)
  • 想像力と数百円。(同上)
  • 少年少女をやめた夏。(同上)
  • 拳骨で読め。乳房で読め。(同上)
  • 十年後の夏、また泣いた。(同上)
  • 「がんばれ、犯人!」な夜もある。(同上)
  • 僕の君は世界一(パルコ)
  • あそんでねむれ。(同上)
  • 本読む馬鹿が、私は好きよ。(同上)
  • 愛するひとは、あなたを愛してくれますか。(同上)