永井一正

1. Structure

構造

永井一正のデザインは、日本のグラフィックデザインの黄金期を牽引しました。初期は、機能的で合理的なモダンデザインの構成主義を追求しました。日本デザインセンターの創立に参画し、企業のシンボルマークやVI(ビジュアル・アイデンティティ)計画を多数手掛け、亀倉雄策らと共に、デザインの普遍的な合理性を社会に浸透させました。

2. Abstraction

抽象

企業や組織の顔となるマークデザインにおいて、永井は極限まで要素を削ぎ落とした抽象表現を追求しました。代表作であるアサヒビールの「アサヒグループマーク」や札幌オリンピックのエンブレムなど、簡潔なフォルムの中に、企業の本質や開催地の特徴を凝縮させる図像の力を体現しています。

3. Shift

転換

キャリアの中盤、1980年代以降、彼の作風は大きく変化します。それまでの機械的・幾何学的な抽象から、生物的・有機的な表現へと移行しました。この転換は、環境問題や生命の根源に対する彼の強い関心に起因しています。

4. Life

生命

彼のデザイン思想の中心となったのは、「生命」と「自然」です。特に、動物や植物をモチーフとした「ライフ」シリーズのポスター群は、彼の哲学を色濃く反映しています。これらは、鮮やかな色彩とプリミティブ(原始的)な表現を用いて、地球上に存在する生きとし生けるものの力強いエネルギーと根源的な美しさを表現しています。デザインを、人間社会のコミュニケーション手段としてだけでなく、生命そのものへの問いかけとして位置づけています。

5. Time

時間

永井の作品には、時間の流れや悠久の生命の歴史が内包されています。単純な線や形でありながら、生命の進化や継承を感じさせる表現が特徴です。ポスターシリーズを通じて、人間と自然の共存という、現代社会における根源的なテーマを訴え続けており、デザインが持つ社会的・倫理的な役割を深く問いかけています。