心のスイッチはどこにある。

INTRODUCTION

消費者は“合理”ではなく“クセ”で動く

消費者の意思決定は、一見すると論理で動いているように見えて、 実際にはほとんどが“バイアスまみれ”です。 マーケティングとは、このバイアスを悪用するのではなく、 人間の前提として理解し、正しく設計に組み込む営みです。

ここでは、代表的な3つをわかりやすく整理しておきます。

BIAS 01

アベイラビリティバイアス ─ 思い出せるものを“正しい”と錯覚する

人は直近で見た情報、繰り返し触れた情報を「正しい気がする」と判断します。 事故のニュースを見た翌日にリスクを高く感じる──まさにあれです。

マーケティングで言えば、「思い出される頻度」=勝率です。

<活用のしかた>
・週1のメール配信で頭の片隅に滞在させる
・リマーケ広告で“あなた、これ気になってましたよね”を静かに繰り返す
・SNSで毎日見かけるブランドになる

つまり、「忘れられない状態」をつくることが勝負の8割を決めます。

BIAS 02

アンカリング効果 ─ 最初の“基準”が判断を支配する

人は最初に触れた数字や情報を“錨(いかり)”にしてしまいます。 「10,000円 → 5,000円」と表示されるだけで“お得だ”と錯覚するのが典型です。

<活用のしかた>
・最初に高額商品を置き、中価格帯を“良心的”に見せる
・元価格を明示して割安感を演出する
・「先着100名」「今日だけ」で判断のスピードを上げる

マーケティングにおける“初手”の重要性はここにあります。

BIAS 03

エゴデプレッション ─ 疲れると判断がガバガバになる

意思決定を繰り返すほど意志力は消耗し、判断が雑になります。 仕事帰りにフラッと不要なものを買ってしまうのは、その典型です。

<活用のしかた>
・レジ横の小物で“最後の一押し”をつくる
・仕事終わりのSNSに“やすらぎ商品”を当てにいく
・購入導線は迷わせず、ワンクリックで完了させる

疲れている人に“比較”をさせない──これも正しい設計です。

CONCLUSION

マーケティングとは、“クセ”を理解して設計する技術

消費者の判断は合理ではなく、ほとんどが“クセ”で動きます。 だからマーケティングは、 「人間のクセを理解したうえで、購買の瞬間を設計する技術」 と言い換えることができます。

アベイラビリティ(思い出される)
アンカリング(基準を握る)
エゴデプレッション(迷わせない)

この3つを押さえるだけで、意思決定の勝率は劇的に変わります。

商品を良くするだけでは足りません。 “選ばれる設計”が必要なのです。