消費者が商品やサービスを選ぶ際には、それが提供する具体的な「便益」が重要な役割を果たします。これらの「便益」を理解することは、消費者の購買行動を把握する上で不可欠です。
3種類の便益とその特徴|
消費者が購入の理由とする便益には、次の3つのカテゴリがあります。第一の、機能的便益は、商品の実用面を指し、例えばスポーツドリンクの運動時の水分補給などです。第二の、情緒的便益は、購入や使用から得られる肯定的な感情(気分が高まるなど)を意味します。最後に、自己表現的便益は、ブランドを通じて自己イメージを伝える際に得られる効用です。
消費者の買う理由となる、消費者に具体的な利益や利便性をもたらす「便益」は、次の3つにカテゴライズすることができます。
自動車業界のマーケティング事例|
自動車の購入においては、理性的便益(機能的便益)と情緒的、自己表現的便益のバランスが重要です。特に高級車や趣味性の高い自動車では、情緒的便益や自己実現的便益がより強調されます。消費者は、自動車を通じて成功者であるというステータスを確認したり、他者に見せびらかしたりしたいという本音を持っています。
自動車購入の際には、純粋想起者(選択肢を与えずに思いつくブランド)は、助成想起者(特定のメーカーから選ぶブランド)に比べて購入意向が高いとされます。大手企業は広告予算を用いてブランドの想起を促進し、購入検討に有利な位置に立つことができます。
効果的なコミュニケーションアイデアの例|
ただし、グローバルトップのメーカーでなくても、強い印象を残して想起上位に入り込むことは不可能ではありません。SUBARUのマーケティング戦略は、情緒的側面を強調した長編CMで知られています。家族や人生のストーリーに絡めた広告は、「安全技術といえばSUBARU」という強いブランド想起を生み出しています。購入検討リストへの残留には、継続的なブランド露出が不可欠です。
また、現代では、SNSやオンラインコンテンツを通じてブランドの露出を増やすことが重要です。SNS上でのブランド露出や、公式サイトとレビューサイトを活用した情報提供は、消費者に便益や独自性を理解してもらうのに役立ちます。