なぜいまそれを買うのか? 顧客心理の鍵を握るPOMEとMOT
商品やサービスの購入には、しばしば明確な「きっかけ」が存在します。たとえば、結婚式場の探索は婚約の瞬間から始まり、新車の購入は運転免許を取得した時に考える人が多いです。この記事では、そのような顧客の「きっかけ」を理解することの重要性に焦点を当てます。
葬儀社のリサーチから学ぶ
葬儀社のリサーチ結果|
葬儀社を決めるのは60%が亡くなった後。25%が生前(余命宣告・危篤時が14%)
調べたり検討するのは50%が亡くなった後。31%が生前(余命宣告・危篤時が15%)
意識し始めるのは37%が亡くなった後。50%が生前(余命宣告・危篤時が18%)
この葬儀社の顧客リサーチ結果ようにカテゴリーの⼊り⼝になっている瞬間を、マーケティング業界では、Point Of Market Entry(POME)と呼んだりします。これらの数字は、顧客タッチポイントの瞬間の理解を深めるものです。
マーケットエントリーのきっかけは多様であり、それに合わせたコミュニケーション戦略を考えることが重要です。例えば、葬儀社の場合、生前の段階で認知されることが、選ばれる可能性を高めることになります。
3つのMoment of Truth
顧客の決断を左右する「真実の瞬間」には3つの段階があります。スカンジナビア航空の元CEOヤン・カールソン氏が唱えた、Moment of Truth(MOT)という考え方があります。搭乗員の顧客平均応接時間が15秒で、そのわずかな時間にお客さまが判断するサービスの質が会社の成功を決めるというものです。
P&Gのアラン・ラフリー氏は、消費者が製品を目にして意思決定を下す「First Moment of Truth」(FMOT)と、製品を実際に使った経験を指す「Second Moment of Truth」(SMOT)を提唱しました。さらに、Googleは、店頭に足を運ぶ前にインターネットで情報を得る「Zero Moment of Truth」(ZMOT)を提唱しています。これらの瞬間は、マーケティングの戦略を立てる上で非常に重要です。
POMEとMOTの統合
Point Of Market Entry(POME)を把握した後は、顧客がどの媒体を通じてZMOTに至ったか、またはどのようなイメージを持っているかを理解することが大切です。さらに、商品を目にして手に取るFMOTの瞬間がどの流通経路で起こるか、そしてSMOTでどれだけ顧客満足度を高めることができるかが、顧客のリピート購入や離反を左右します。POMEとMOTを理解し、商品やサービスのコミュニケーション戦略に取り入れることが、効果的なマーケティング戦略立案への鍵となります。