アンケート調査は、企業が顧客の声を聞き、商品やサービスの評価を収集する一般的な方法です。しかし、人間は自分をよく見せたいという欲求があり、これがアンケートの回答に影響します。この記事では、人間が持つ見栄や虚栄心がアンケート結果にどのように影響を与えるかを紹介します。
アンケート調査の落とし穴|
人間の自己愛は、見栄や虚栄心といった形で現れることがあります。これらの心理は、アンケート回答において、実際よりも好ましい内容を提供する傾向をもたらします。
人間には、見栄や虚栄心など、動物として本来的に備わっている自己愛があります。そのような自己愛から生まれる、「見栄張り」回答や、「忖度(そんたく)」回答といったものが、アンケートには多く含まれていることを理解しておかなければなりません。
実は、アンケートやインタビューに対して、見栄(虚栄心)から、実際よりも好ましい数字や内容の回答をしてしまったり、嫌われないように相手の気持ちをおしはかり、思っていることとは真逆のことを回答してしまうことは、よくあることなのです。しかも、記名式アンケートは、自分を実物大以上に見せようとする「下駄を履かせた」見栄張り回答を誘発しやすく、忖度の度合いも高くなることは間違いありません。
「年収はおいくらですか?」「いままでに、何人の異性と付き合ったことがありますか?」「ウェストのサイズは何cmですか?」、これらの質問にどれだけ正直に答えることができるでしょうか?
無意識の本音に迫れ|
サントリーでは、1人当たり30~40分かける消費者インタビューを年間およそ300人に継続的に行っています。それだけの時間をかけないと、無意識の本音をつかむヒントを得ることは難しいということなのでしょう。
無意識の本音というものは、生物としての本能的な欲求であり、しばしば品位に欠けるものであったり、不道徳なものであったりします。だからこそ、無意識の本音と向き合うことは自身にとっても他者にとってもストレスを感じるものであり、口に出すことはもちろん、考えることすら憚られるようなものなのであるわけです。
言葉にできないが感じている「声なき声」を洞察することが、マーケティングにおいて重要です。顧客の本能的な反応に焦点を当て、感情に深く訴えかけることが求められるのです。